よくある質問
色々なところで自己紹介すると十中八九尋ねられるのがこのご質問です。
この他にも「司法書士試験」と「司法試験」が一緒になっておられる方も時々いらっしゃいますが、司法書士試験合格しても検事や弁護士にはなれません。それだけ一般の方にはなじみがないのかもしれませんが、この業界の片隅にいる者としてはかなり寂しい事です。
さて、ものすごく簡単に申し上げますと、「不動産や会社の登記を依頼するなら司法書士へ」、「許認可手続を依頼するなら行政書士へ」という風に言えるかと思います。
具体例としましては
などは司法書士の業務であり、
などは行政書士が行います。
尚、当事務所では税理士、弁護士、土地家屋調査士等、他士業の他、大阪神戸の公証人役場とも連携しておりますので、お気軽にご相談下さい。
不動産登記に関して
なるべく簡潔に述べますと、登記とは、不動産の状態(面積、土地なら宅地なのか畑なのか等、建物なら住宅なのか倉庫なのか等、いつ出来たのか...等)及び現在の権利の状態(誰が所有者か、担保に取られているのかどうか等)を公示するための手段である、という事になるでしょうか。
この制度は、安心して不動産を取引出来るようにするためのものです。
平成17年3月に施行された新しい不動産登記法では、インターネットの普及を反映し、登記申請もオンラインで行えるように従来の登記済証(いわゆる権利書)を「登記識別情報」というものに変更しました。
申請した登記が完了しますと、登記所より「登記識別情報」を記載した用紙(「登記識別情報通知」といいます)が渡されますが、これが従来の権利書に相当するものです。
従って権利書はなくなったのではなく「登記識別情報通知」というものに変わっただけで、(登記手続的には従来とはかなり異なりますが)登記をご依頼されるお客様にとっては、「登記識別情報通知」と従来の権利書は様式こそ違いますが、その重要性は同じだといえます。
相続に関して
遺産を分けるための話し合い(「遺産分割協議」といいます)は、すべての相続人が参加して行わなければなりません。もし、一部の方だけでこの協議をしても無効であり、改めて全員でやり直す必要があります。
とは言っても、現実問題として何処にいるかわからない人と協議はできませんし、見つかるまで協議を延期していたのではいつまでたっても前に進みませんよね。
そこで、この様に相続人の中に行方不明の方がいる場合、家庭裁判所で「不在者財産管理人」という人を選任してもらい、この人を含めた相続人全員で協議を行うこととなります。
お亡くなりになった方が遺言書を残しておられない場合、民法という法律に基づいて相続分が決定されますが、財産が金銭以外の不動産や有価証券といった分割しにくい時や、当事者同士が感情的になってしまった時は分け方についてのお話がまとまらないことが多いようです。
どんなに話し合いの場を設けても解決できない場合には、家庭裁判所へ「遺産分割調停」を申し立てることができます。
これは分割協議に家庭裁判所を関与させる手続なのですが、あくまでも当事者同士の「協議」なので、全員が同意できないと成立しない、という欠点があります。
そこでこの調停が不成立となった場合には、通常の裁判と同じ強制力を持つ「遺産分割審判」という手続に移ることとなります。
現在のわが国において、相続人となれる者は「配偶者」「子」「親」「兄弟姉妹」等に限定され、事実婚の夫婦(法律上は「内縁関係」といいます)の場合「入籍していないから配偶者には当たらない」として相続人になる事はありません。
とはいえ、事実婚の夫婦で遺産を渡せないか、というとそうではなく贈与(または遺贈)という方法があるにはあります。ただしこの場合、贈与税という恐ろしく高額な税金を払う必要があります(例えば評価額2000万円の土地と建物を贈与すると、ざっと775万円ほどが贈与税としてもっていかれます)。また、相続人の方がいる場合には、相続した方から贈与を受けるか時価で購入するかしなければなりません。
いずれの場合にも相続とは違い内縁者が無償で相続財産を手にすることはできないようになっているのが原状です。
商業・法人登記に関して
会社法が施行になって、新しく有限会社を設立することができなくなりましたが、既に設立されている有限会社は、株式会社として存続することになります。
そのために、定款変更や登記申請など、特段の手続は必要ありません。
ただし、有限会社法の規律と会社法の規律とでは異なる部分があるので、引続き有限会社の実質が維持されるように法律(特則)を置いて、その商号には「有限会社」の文字を用いることになっています。
このような有限会社の文字を用いられた会社を「特例有限会社」といいます。
会社法の施行前に設立された有限会社は、特例有限会社として存続することになりますが、このような特例有限会社が通常の株式会社に移行するためには、下記の手続きが必要になります。
1.株主総会(旧社員総会)で定款変更決議をして商号を「株式会社」を用いたものに変更する。
例)有限会社甲 ⇒ 株式会社甲
2.上記決議の日から、本店所在地においては2週間以内、支店所在地においては3週間以内に、商号変更後の株式会社について設立登記及び旧有限会社の解散登記をする。
(1)法的必須機関は「株主総会」と「取締役」のみ
会社法では、株式会社の機関について、出資者が1人で設立し、会社を運営することができるようにするため、株主総会と取締役だけの会社を基本とし、株主総会および取締役1名が法定必須機関となります。
(2)機関設計は自由
会社法では基本的に各会社が機関設計を自由に選択することができます。
(1)で述べた法定必須機関以外、例えば、取締役会、監査役、監査役会、会計参与などは定款で定めることにより、置くことができます。現在の機関設計を変更するには株主総会の決議により定款を変更する必要があります。
(3)会社の状態、選択によって設置義務機関がある
(2)で述べたとおり、会社法では基本的に各会社が機関設計を自由に選択することを認めていますが、一定の事由により、設置が義務付けられる機関があります。
<基本ルール例>
・公開会社(※1)は、取締役会を置かなくてはなりません。
・取締役会を置いた会社は監査役(又は会計参与)を置かなくてはなり
ません。
・大会社(※2)は、監査役及び会計監査人を置かなくてはなりません。
・公開会社かつ大会社は、さらに監査役会を置かなくてはなりません。
以上のほかにもいくつかのルールがあり、また例外も存在します。
ご自分の会社がどのパターンを選択できるか(すべきか)、機関設計の変更にはどのような手続きを取ったらよいかなど、お気軽にご相談ください。
※1 公開会社
株式について譲渡制限のない株式会社(その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社)
※2 大会社
資本金5億円以上または負債の額が200億円以上の会社(正確には会社法第2条6号参照)